サトルさん、
ビビです。
すっかり寒くなってしまいました。数か月ぶりですね。お元気でしたか?
サトルさんはきっと、BiB/i がもっともっと使いやすくなるように、眠る間もないくらいがんばっていらっしゃったんでしょうね。
たまにはゆっくり休んでください。
でも、きょうはちょっと焦っているんです、わたし。さっき電書ちゃんからびっくりするようなメッセージが届きました。すごくうれしかったんですけれど……心配なことも書いてあったんです。それで、いてもたってもいられなくなって、お手紙を書いています。
BiB/i が「JEPA 電子出版アワード」の「エキサイティング・ツール部門」にノミネートされているのは、もちろんご存じですよね? それも、電書ちゃんの「でんでんコンバーター」とおなじ部門! なんだかすこし照れちゃいます(でも、ひどいなあ。わたし、電書ちゃんから初めて聞きましたよ)。
ほかにもいろんなみなさんの素敵な取り組みがたくさん候補に挙がっているみたいなのですが、電書ちゃん、サトルさんがこのことについて記事を書くって言っていたのにまだ出していない、って言っていました。
きっとお忙しいのだと思いますけれど、もしかしてなにかあったのでしょうか?
せっかくこれまでがんばってきたんですから、きっと、いろんなおしらせをしたほうがいいんじゃないかなあ、って思います。
投票の締め切りはもう明日、12月5日の木曜日なんですよね? いそがなくっちゃ!
電書ちゃんといっしょのノミネートで、わたしはとってもうれしいです。
ビビさん、
サトルです。
メッセージ、ありがとう。
キャラクタを固めないまま掛け合いを始めてしまってどきどきしていますが、なるようになりますよね。いえ、こちらの話。
それから、ほんとうにすみません、あんな機能もこんな機能も進んでいなくてほんとうにほんとうにすみません。冬休みはがんばります。
さて、ええと、そうそう、「JEPA 電子出版アワード」の話ですが、ぼくも釣り好きな格闘家の先輩から聞いていたので、もちろん知っていました。これ、去年はあの FUSEe も受賞した、とてもすごい賞なんですよね。びっくりした。
ビビさんの名前を借りて BiB/i の原型をつくったのが去年の秋頃。すこし悩んでしばらく停滞したりしながら、なんとか公開したのは今年の6月でした。
それからあっという間に夏は過ぎ風あざみ、秋も去って12月。思えば、つくり始めて1年以上経つのか。でも、お披露目してからは、まだ半年も経っていない。
この数ヶ月は、いろんなひとに使ってもらえて、たくさんの感想がもらえてほんとうにうれしかったなあ。
そして今回のノミネート。ほんとうに光栄なことだと思います。
いつもお世話になっているみなさんの、でんでんコンバーターや Himawari Reader と並んでいるのもほんとうにうれしい。
ほかにも Murasaki や PUBLUS、……一太郎に ScanSnap……って、なんだか、ほんとうにすごいね、これ、みんなおなじ部門なのか。そのなかに BiB/i が入ってるなんて。しかも先頭に(いや、アルファベット順なんだけどね)。
感慨深いよ。思えば今年になってすぐの頃には、
(ぷるる、ぷるる、)
……もしもし、サトルさん? ビビです、いまちょっとよろしいですか?
サトル:わ、おどろいた。ビビさん、おひさしぶり。いまちょうど返事を書いていたところだったんだよ。
ビビ:はい、そうだろうなあと思っていました。きっと、感慨深げにこれまでのいろんなことを、今年の始めあたりから振り返りはじめたころかな、なんて。
サトル:あ、いや、ええと……その、とおり、でした。
ビビ:やっぱり! だめですよ、また朝までかかっちゃいます。発表からきっと、ずっとそんな感じだったんだわ。ああ、やっぱりお電話させてもらってよかった。
サトル:いや、出張があったりして、忙しかったんだよ。ごめんなさい。でも、なんだかずいぶん、前のめりだね。ビビさんもよろこんでくれてるんだ?
ビビ:もちろんですよ! わたしの名前をつけていただいているんですしね。でもそれより、サトルさんこそ、のんびりしすぎです。こういうことは、いつも応援してくださっているみなさんに、はやくお知らせしないと。
サトル:そうだよね。受賞できるかどうかは別の話で、ノミネートされただけですごくうれしい評価だもの。これは、ほんとうにみなさんの応援のおかげだよね。お礼を言わなくっちゃ。
ビビ:……サトルさん。もちろん、そのとおりです。でも、そんなふうにかんたんに、「めでたしめでたし」でまとめようとしちゃ、だめです。
サトル:え?
ビビ:BiB/i を公開してすぐに会社のブログに書いた決意をわすれていませんか?
サトル:!
ビビ:サトルさん。BiB/i でなにをしたかったんでしたっけ? たくさんの人のことばをたくさんの人に届けたいのでしょう? そうだったら、BiB/i をもっとたくさんの人の役に立つものにしなければいけませんよね。そして、それ以前に、まず知ってもらわなくてはいけないと思いませんか?
サトル:……そのとおりだよ、ビビさん。
ビビ:お仕事がたいへんなのも、つくっているほうが楽しいのもわかります。それはすばらしいことですけれど、まずご自分のことばをみなさんに届けるために、サトルさんには、もっともっとできることがあるのではありませんか? いいものをつくればちゃんと伝わるんだなんていいながら、……失礼なことを言いますけど、じっさいは、苦手なことから目を背けて得意なことだけやっているのではありませんか? 苦手かどうかもわからないくらい、目を背けてしまっているのでは? それに、わたしのキャラクタ設定はいつになったら固まるのですか?
サトル:なにか混ざってきたけど、なにもかもそのとおりだ。……うん、ごめん、ビビさん。「みんな」によろこんでもらいたいなら、開発はもちろん、宣伝もサポートも足りてないって、気づいていたのに。なにより、ぼくはあの頃の気持ちを忘れかけていた。そう、そうだ、あのころは、
ビビ:……!
あの、みなさん、ビビです、こんにちは。
こんな流れでたいへん不躾なのですけれど、ご挨拶できてほんとうにうれしいです。あらためまして、どうぞよろしくお願いいたします。
サトル:……だから、オープンソースにするって決めたのも、……
サトルさんは決意をあらたにしているところみたいですから、申し訳ありませんけれどそっとしておいてあげてください。
BiB/i は、これからきっと、ますますよくなっていくんだとおもいます。わたしには機械のむずかしいことはわかりませんが、使ってくださったみなさんの声を聞いてよろこんでいるサトルさんの様子をみていると、たぶんそれは保証していいと思うんです。電書ちゃんも、志は買うわ、って言ってくれました。
サトル:……本を届けたいと願う人が、読みたいと願う人に届けるために、……
だから、ほんとは、わたしは、受賞できるといいな、って思います。できなくてもうれしいことだ、って、かんたんに言ってしまってはいけないのじゃないかな、って。
でも、それでも、できなくてもいいんです。みなさんに、BiB/i のことを知って、使ってもらえるなら。届けたいと思う誰もが自由に使える手段がもっと身近になるのなら、
サトル:……電子書籍や電子出版は、この硬い字面からも解き放たれて、もっと自由で身近なものにもなれるはずなんだ! ねえ、ビビさん。
ビビ:そうですよ! ずるいなあ、思ったよりも早くにむりやり合流してきましたね。でも、そのとおりです。思い出したんですね。
サトル:うん! ……というわけでみなさん、ぼくは BiB/i のことをもっとたくさんの人に知ってもらいたいです。そのために、もしよかったら、投票してくださるとうれしいです。賞はともかく、BiB/i が変わらず信じた方向を目指して進み続けるのは変わりません。もういちど約束します、届けたい人が読みたい人に届けるためのツールとして BiB/i を育てていきます。でも、この約束を信じてくれる人がたくさんいればいるほど、もちろんぼくはそのぶんだけさらにがんばれると思いますので。
ビビ:ううん……サトルさんの気持ちの問題にむすびつけちゃっていいのでしょうか……。でもみなさん、わたしからも、お願いします。どうか BiB/i を応援してください。ただ……、BiB/i は、サトルさんのいうとおりまだ日の浅い、これからのものなのかもしれませんよね。そうお思いのときは、わたしのお友達、電書ちゃんの「でんでんコンバーター」を応援してくださいね!
サトル:え、そうなるの? いや、もちろんたしかに「でんでんコンバーター」は今年のタイトルにふさわしいと思うけれど。急にあっさりしたね?
ビビ:「でんでんコンバーター」のプレビュー機能には、BiB/i がつかわれていますしね。
サトル:わあ。ビビさん、したたか。キャラクタが固まってきたね!
ビビ:……こほん。
今後ともどうぞよろしくおねがいいたします。