BiB/i あらため Bibi の、とうとうやっとの v1.0.0 をリリースしました。

(ダウンロードは上のどちらかから。日本語なら一つめ、英語なら二つめのリンク先に情報が多いです)

記念碑的なバージョンにふさわしい大きなアップデートの目玉は、大幅な高速化です。

とくに、固定レイアウト書籍への最初のアクセスから読み始められるようになるまでの速度は、200ページほどの一般的な漫画単行本をサンプルとしたテストで 4000% の高速化を果たし、アクセスから2秒で読めるようになりました。

しかも、事前にフォルダに展開しておいた場合だけではなく、ZIP 状態のままの EPUB を開くときも、それに迫る速度で動作します。

これらを実現するのは、Bibi 公開時からの約束を6年越しでとうとう果たしたプログレッシブローディング機能の実装と、さらに、Bibi の挙動に合わせて完全に新しく開発された「Bibi Zip Loader」の搭載です。

ほかにも多数の新機能を搭載しつつ、安定性や、運用の自由度は向上しています。

代表的な新機能・新要素

  • 展開済みフォルダでの動作時に迫る読み込み速度を実現する Bibi Zip Loader
  • 固定レイアウトの各ページデータを最初に一括ではなくバックグラウンドで順次読み込む、プログレッシブローディング機能(Bibi Zip Loader により、ZIP からのプログレッシブ抽出も可能)
  • ページ移動履歴を遡るヒストリー機能
  • しおり機能
  • ドレス機能(デザインテーマ切り替え機能と独自テーマ開発支援機能)
  • リフロー書籍の表現力向上(縦書き書籍の見開き分割表示対応、その他多数)
  • 電書協ガイドに倣った書籍への対応度向上(リフロー/固定レイアウトとも)
  • OMF スタンダードプロファイル対応(固定レイアウト EPUB として)
  • ECMAScript 6 + webpack + BABEL による開発環境への移行

謝辞

上のような大きな改善と多数の機能追加は、Lunascape 社の技術サポートとスポンサリングのもとで実現しました。国産ブラウザの開発をはじめとした多くの先進的なプロジェクトで知られる、あの Lunascape です! とくに Bibi Zip Loader は、Bibi のために Lunascape が開発し、オープンにしてくださっています。

Lunascape 社は12月付で親会社であるメディアドゥ社に吸収合併されましたが、Lunascape ブラウザの開発事業は元の開発者である近藤秀和さんとともに G.U.Labs 株式会社に移り、今後もさらに発展的な開発を継続していくそうです。

β版が公開されている Lunascape ブラウザの最新版「Phoebe(フィービー)」にも、EPUB リーダー機能として Bibi をご採用いただいています。そちらも近く最新版に更新されるはずなので、どうぞご期待・ご愛用ください。

個人的にも、まだ学生だった頃から知っている Lunascape の、会社として最後の仕事のひとつに、Bibi とともに関わらせていただけて光栄でした。Lunascape 社とメディアドゥ社に深く感謝を申し上げます。

ところで。旧バージョンからご愛用くださっている方へのご報告です。

Bibi v1.0.0 からは、次のように基本仕様が変更されました。

  1. 基本ディレクトリ構造を bib/i(bib スラッシュ i)2層から bibi 1層に変更
  2. アクセスする起点ファイルも bib/i/index.html から bibi/index.html に変更
  3. 伴って URL も bib/i/?book=BOOKNAME から bibi/?book=BOOKNAME に変更
  4. デフォルトの書籍保存先ディレクトリを bib/bookshelf から bibi-bookshelf(bibi ディレクトリと同階層)に変更

ただし、どうかご安心いただきたいのですが、公開済みサービスでの URL 変更や書籍データの移動を避けられるよう、旧 URL や旧 bookshelf でも利用可能な後方互換性を確保してあります。

方法について詳しくは、Bibi-v1.0.0_with_BackCompatKit(後方互換キット)をダウンロードし、その中にある README.BackCompatKit.md をお読みください。

なぜ変えた?

BiB/i という名前は、まずは Books-in-Browsers を表しており、そこに「"I"nternet で・無数の個人=I に」使ってもらいたいという気持ちを込めて「/i」をつけた命名でした。その名前のまま、アプリケーションのフォルダ構成や設置時の URL にまでスラッシュを入れる洒落っ気も、それなりに気に入っていたのですが……ただ、v1.0.0 とするにあたり、よりシンプルで取り回しやすい構成を徹底したいと思ったのです。

以前から使ってくださっているユーザに不便をかけないよう、上のとおり後方互換性を維持しましたが、それでも、こうした説明が必要になる事態を申し訳なく思います。でも、設置や運用の自由度はむしろ向上していますので、どうかご容赦ください。

……綴りを変更したのにはもうひとつ理由があります。われらがビビさんとおなじ Bibi という名前の女の子が主人公の外国の絵本を見つけたことです。かわいいその絵本を眺めるうち、より名前らしい綴りを正式名称にしたいという思いが強まっていったのでした。

これからも、オープンソースの出版ツール・ブラウザビューワとして開発をつづけていきます。どうかひきつづきご愛顧ください。